モンスター冒険譚に生まれ変わったフリースタイルダンジョン
単純接触効果
初めのうちは興味がなかったり、苦手だったりしたものも、何度も見たり、聞いたりすると、次第によい感情が起こるようになってくる、という効果。たとえば、よく会う人や、何度も聞いている音楽は、好きになっていく。これは、見たり聞いたりすることで作られる潜在記憶が、印象評価に誤って帰属されるという、知覚的流暢性誤帰属説で説明されている。また、潜在学習や概念形成といったはたらきもかかわっているとされる。
アーカイブも22回目に来たフリースタイルダンジョン。
今回のREC5で確信した。
これは、挑戦者がモンスターを倒す番組じゃなくて、モンスターが挑戦者となってあらゆる強敵を倒していく成長物語に変わったんだ。
負けていじられてもおちゃらけたアンサーを返せるサイプレス上野、みんなから成長を期待されるT-Pablow、恐いけど可愛い漢、そして誰よりもヘッズぶりを見せ付けるR指定。
そして密かにバトルの見方に自信をつけつつあるLily。
スキルとリスペクト、純粋さに垣間見える可愛らしさ。
みんなの成長とドラマを楽しむ番組なんだ。
#20 フリースタイルダンジョン感想(チャレンジャー:GADORO)
今週も待ちに待ったフリースタイルダンジョンのアーカイブが公開されました。
◾︎チャレンジャー
・レペゼン宮崎、バトルヘッズに大人気のMC「GADORO」
◾︎モンスター
・サイプレス上野
・REC5初登場の隠れモンスター「Mr.Q」
〜今回の見どころ〜
①音源ラッパー「Mr.Q」の底力
②バトルヘッズの楽しみ方を覚えたLily
③一人のヘッズに戻る晋平太とR指定
①音源ラッパー「Mr.Q」の底力
声量も肺活量もビートアプローチもやっぱさすがの我リヤ。
R指定も一昨年くらいにCreepy Nutsの活動強化してから、喉震わせる発声がすごくなって、バトルの迫力も増してたけど、それを更に高次元で披露してたなーと。
無理に言葉詰めずに乗せるスキルがやっぱタカスギル。
Qのフローで頭振るジブさんとMAC THE SEIKOがひたすら可愛い回でしたな。
あとやっぱ空気の読み方上手い。
「ここで湧かせなきゃ」っていう絶妙なタイミングで自分の過去のライン引用したり。
しかも文意としても間違ってない。
こんな踏み方しといて「何文字も踏めりゃ偉いわけじゃねえ」って、ズルいよ。
Qに言われたら何も言い返せねえわ。
Qのラストコメントと、テーマ曲になってる「DO THE GARIYA THING」のコメントが重なってる編集も上手い。
にしても、漢、サ上が負けて、Qも一本GADOROに取られた状態で、ビートに「三者凡退」選ぶDJ SN-Zは鬼畜すぎではなかろうか。
②バトルヘッズの楽しみ方を覚えたLily
ダンジョンきってのアイドル(笑)キャラのLily。
「私、ヒップホップのことはわかんないんですけどー」がスタート当初の枕詞だったLilyが先攻後攻の美学に言及するなんて視点変わりすぎだろ。
DOTAMAとACEのバトルでも先攻後攻に関するやりとりあったけど、そういうの見ながら一つ一つ学んでって、なおかつ妙なエモさを大切にしたジャッジするのが、良いバランスだなーと思った。
③一人のヘッズに戻る晋平太とR指定
般若の時に続いて、ヘッズ心丸出しでバトル見てるペータとRが可愛い。
特にRは表情に出すぎ笑
ぺーたの可愛さが目立つようになったのは、ヤンハスのライブからだろうか。
こうやって、バトルからヒップホップ追っかけ始めた人たちが見てる番組で、第一線にいるMCがヘッズ心丸出しでコメントすることで、音源に興味持つ人が増えればいいなーと思う。
最後に
焚巻:般若戦以降一般ファンが増えたこのこの番組で、隠れモンスター「Q」っていう急にヘッズ向けに舵切った展開に期待感が高まって仕方がないREC5。
次は誰かなー、BESとか来て欲しいなー。
そして山田マンのTwitterプロフィールのポップさは何なんだ…
アンバランスなイメージに変わった我リヤのニューアルバム楽しみでふ。
何故君はサイファー予選を勝ち上がれないのか
「サイファーはやっぱり実績のある人しか上がれないんですか?」
Double Dutch One'sの審査員を務めさせていただくと、イベント終了後にこう話しかけられることがよくあります。
「いや、そんなことはないよ!僕らも『その日すごい奴が勝ち上がる』って言うのが理想だと思ってるし、そのつもりで勝ち残りの選考はしてるつもりだよ」
そう答えます。
が、
往々にして、話しかけてくれた子が、サイファーでどんなプレイをしていたのかを覚えていません…
いや、正確に言うと、「顔は見たし、その衣装も覚えてる!が、何してたか全く印象になかった」っていうことなんです。申し訳ないんですが。さすがにムツゴロウさんじゃないし、そんな記憶力良くないですからね。
ただ、それだけではジャッジ務めさせてもらった人間としてあまりに無責任な感じがするので、今日は『ワンズでサイファーを勝ち上がる人は何が違うのか?』ということを、僕の解釈で説明してみようと思います。
1.アピールの仕方が、ジャッジの意思決定の流れと合致している
僕がひとりのプレイヤーをピックアップするまでの心の流れを図にしてみました。
(某消費者行動モデルを参考にしています…)
①目に入る…衣装や動きの大きさで目に入る
②興味が出る…動きのクオリティやセンスに対して、いいなと思う
③覚える…また何かいい動きを出してくれるんじゃないかと目で追う様になる
④食らう…絶妙な音ハメや技術、動きの綺麗さなど、ムーヴ1連の流れを見て、『すげえ!』と思う
⑤決める…『こいつは他のジャッジに対してもピックアップ推薦出来るな』という確信を得て、意思決定
冒頭の「実績のある人しか上がれないんですか?」っていう質問は半分Yes半分Noで、そういう人たちって、既に③からのスタートに認識上どうしてもなるんですよ。
なので、他の参加者に比べると目で追ってしまう分比較的上がりやすくなる。
何か所もで同時に跳んでても全部見られないからね。
上手く上がれない人たちは、40分のサイファーの中において、『自分は今、①~⑤のうち、どこにあたるんだろう?」っていうところが全く見えていない印象があります。
ひたすら④を狙って大技ばかり繰り出してくる子もいるんですが、④ってノーミスのムーヴがどうしても大前提になってしまいますし、そもそも①~③を満たしていないと、ジャッジが見ていない可能性も比較的高いので、その戦い方ってものすごくハイリスクなギャンブルだと思うんですよね。
仮に上手く行ったとしても、④のムーヴが②の役割になってしまうと、もうそこからはどんだけ④を繰り出し続けるかの体力勝負です。
激戦の関東ワンズで、マサエちゃんが現役生として数少ない決勝進出を何度も果たしてきていたのは、この①~④がしっかりと実現されていたからかなあと思います。
もちろん、その日の出場者レベルやジャッジ次第で、①②のハードルの高さもメチャクチャ変わります。
2.戦い方に戦略性がある
たくさんのライバルの中で目立っていくためには、当然『差別化』が必要です。
敵を知り己を知ればなんとやらという故事もありますが、まずは自分のプレイヤースタイルを改めて把握することが第一歩だと思います。
プレイヤースタイルをざっくり分類するとすればこんな感じでしょうか。
もちろん、『A&B』とか、『A&D』とか、領域をまたぐ人も存在します。
TMYさんなんて誰がどう見ても全範囲カバーだと思いますし。
で、勝ち残っていくためには、『その領域で一番になる』、『競合の少ない領域で戦う』などのやり方が必要になってくるわけです。
ここで例を挙げると、関西でYUIが最近めちゃくちゃ強くなってると思うんですが、彼女のプレイヤータイプを見ると、
・ちょっと前…『D』
・最近…『D』+『A』+『B』
みたいな戦い方に変化をしているように感じます。
特に『A』『B』の象限に踏み入れてる女の子プレイヤーは結構特異だと思っていて、そこが彼女の強さを押し上げてるのかなあと思います。
で、話戻りまして、ここで「自分はAだ!この中で一番になろう!」って、勇み足で練習続けるのはちょっと早計だと思ってまして、
「じゃあどういう軸で一番になるの?」
っていうところを考えていくべきなのかなあと思います。
それを考えるためのマトリックスの一例を上げます。
こんな感じで、縦軸・横軸に何を置くかを考えながら、自分が一番になっていく領域を見定め、まっすぐ進んでいくのがいいのかなあと思います。
「上半身安定×足はシンプル」なハリーが全盛だった時代に、「異次元の足技」を出し続けていたMASAは今やワンズ界最強の男の一人ですね。
努力や技術ももちろんですが、ポジションの突き抜け方も最高に上手いと思います。
こうやって自分のポジションを確保した上で、「じゃあ本選では誰相手にどう戦うのがいいのかな」という相性とか戦術とかの話が次に出てくるわけですね。
そこはまた追々。
とかく、Double Dutch One'sは来るたび参加者も増えてて、新入生からレジェンド級のOBまでが凌ぎを削る物凄くアツいイベントだと毎回感じます。
これからもまだまだシーンを盛り上げていくこのイベントで、新たなるスターが生まれるのを、いちOBとして楽しみにしてます!!!