種馬ジャーナル

ストリートスポーツやアングラカルチャーを中心に、体験・レポートするブログ。話がまとめられない子なので、更新頻度が悲惨

LIVEレポート:YOUNG HASTLE①〜『おんなのこ』すら振り向かす、徹底した現場主義哲学〜

今年もまた忘年会シーズンがやってきた。
会社の同僚、昔の同級生、これまで積み重ねてきた人付きあいが一挙にまとめて押し寄せてくる楽しい季節だ。
 
一方、世の中を見渡すと、厳しい顔をする新入社員も多いことだろう。
 
「一発芸」
 
心の壁を取り払う良き習慣でもあり、後の生活に禍根を残し得ない悪しき風習でもある。
 
そして、一発芸の古典的な形式でありながら、コンプライアンス社会の軋轢により、微妙な立場に立たされているのが「裸芸」だ。
 
衣服を着用した観衆の中、ひとり肌を露出する。
その場にもたらす絶妙な不協和音が笑いとなって現れる。
一方、それが失笑という不幸な結果に終わることがあるのも否定出来ない事実だ。
 
とはいえ、日本のマスメディアでは、このような裸芸を武器としたスターが颯爽と登場することも少なくない。
江頭2:50なかやまきんに君、小島よしお、そして何より今年の大スターは、とにかく明るい安村だ。
 
彼らは「脱ぎ」に「+α」の芸を付け加えることで、数分間の持ち時間で最良の空間を作り出す。
「脱ぐ」という行為が生み出す感情は、とても瞬間風速的なものだ。
「裸芸は1日にしてならず」と言っても過言ではないだろう。
 
が、2015年、この「脱ぐ」という普遍的な行為を一つのライブショーケースに落とし込むラッパーが現れた。
 

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そう、「YOUNG HASTLE」だ。
 
 
2010年、自身の愛するVネックTシャツについて歌い上げた「V-NECK T」がスマッシュヒットした彼は、その特異な目の付け所、リリックセンスからジワジワとその名を広めていった。
 
 
 
そして本年、一番の話題をかっさらったのが、テレビ朝日系列のMCバトル番組「フリースタイルダンジョン」第6回放送のラスト、「R-指定 vs  CHICO CARLITO」の名勝負の後に繰り広げられたこのライブである。
 
 
16:55から始まる2人のバトルから是非とも見てみてほしい。
(Beat : M.O.P / ANTE UP)
 
 
この映像は瞬く間に日本中のヒップホップヘッズに議論を巻き起こした。
 
「何故この姿なのか?」、「何故この曲なのか?」
 
Youtubeのコメント欄は、本人にとってはかつてない逆境だったのかもしれない。
 
が、この放送だけで本当に彼を判断していいのか。
 
答えは現場にしかない。
 
 
 
前置きが長くなったが、私の住むこの大阪の街に「YOUNG HASTLE」がライブをしにくるということで、同じく毎週フリースタイルダンジョンのアーカイブがアップされることだけを楽しみに一週間を生きている会社の後輩と共に足を運んだ。
 
 
会場である心斎橋「GRAND CAFE」に到着したのは、丑三つ時になろうとする25:50分。クラブイベントにおけるゲストライブのスタート相場は26:00〜27:00の間なので、足早に受付へ向かう。
 
ドリンクチケットを手渡してくれたお姉さんに「ヤンハスは何時からですか?」と真摯に尋ねる。
 
「26:00スタートの予定です」
 
との返事に胸を撫で下ろす我々。
 
 
ここにはおよそ1年前に、「ふくろうキャンプ」というイベントで来たことがある。
YOU THE ROCK★K DUB SHINEのライブに頭を揺らし、DJ OASISのかける日本語ラップルーティーンに酔いしれた思い出の箱だ。
この翌週もサイプレス上野とロベルト吉野が、その次の週はなんと”KING OF DIGGIN’」MUROのキャリア30周年記念パーティーが開催されるとのこと。
 
 
会場に入り、まずはバーカウンターで酒を頼む。
見渡すと、「UMB」や「ENTER」など、他のヒップホップイベントでも見かけたことのあるヘッズの顔がちらほら。
ヤンハスのライブ後ではあるが、韻踏合組合の遊戯も来ていた。
 
 
いざフロアへ向かうと、まあ人はそんなに多くない。
が、他のヒップホップイベントに比べると、ピッチピチのスキニーを纏ったギャル比率が心なしか高い。ヤンハスの曲通り「Smell good!!」とはいかず、普通のクラブらしく、酒・汗・タバコの臭いが充満している。
 
 
長々と書いたが、この間ものの10分間。
26:00を迎え、ステージ上にはDJ TY-KOHがセット完了。
ヤンハスとライブを共に作り出す相棒だ。
 
 
そして、TY-KOHの「Young Hastle!!!!!!!」の掛け声と共にヤンハス登場。
ここから我々は、「Young Hastle」という男の作り出す新たなヒップホップのあり方を目の当たりにするのであった。
 
 
 
 
つづく