種馬ジャーナル

ストリートスポーツやアングラカルチャーを中心に、体験・レポートするブログ。話がまとめられない子なので、更新頻度が悲惨

電通の過労死問題は「大企業全て」が本気で取り組まなきゃ解決しないって話

電通の新入社員が過労により自殺をしたニュースが話題になっている。

 

 

www3.nhk.or.jp

 

 

広告代理店の文化に根ざすとも言える過剰労働、パワハラとも言える言動が状態化した職場環境、「何故自ら命を絶つ前に、この環境から逃げ出さなかったのか」という議論も多くなされている。

 

blogos.com

 

 

「出ていかない」のでなく「出ていけない」

 

これが現実なんじゃないだろうか。ベンチャー企業への新卒入社も当たり前になりつつある世の中ではあるが、「大企業」と言われる企業を飛び出すことは、新卒入社から1,2年の若者にとって未だ容易ではないのが現実だと感じることが多い。

 

第一に、「行き先に関する不安」だ。

 

どれだけ「どんな企業もこの先どうなるか分からない」とネットの記事で見て、頭でわかっていたとしても、「大企業という安定(たとえそれが幻想でも)」を捨てることへの抵抗感は少なからず存在するし、何より、胸を張れるスキル・実績の無い新入社員が「やめる」・「逃げる」ということに世間は想像以上に冷たい。

 

 

何が「新卒一括採用」だ。

 

何が「就職偏差値」だ。

 

 

こいつらが生む、たかだか就職しただけで「何か他の人に手に入らないものを得た」という思い込みが、本来「マッチング」を志向するはずの採用・労働を歪めてるんだと思う。

 

合わない会社をやめることで失うものなんてほんとは何もないはずなのに。

 

 

 

もうひとつ、「今働いている会社・職場が、転職を受け入れないこと」も、飛び出すことを困難にしている要因だと思う。

 

僕は今年の5月に、前職のリクルートを辞めて転職した。

そこには「将来こんな仕事がしたいな」というポジティブな気持ちもあったけど、ネガティブな気持ちも無かったと言ったら嘘になる。

 

やっぱりどうしても労働時間が長くなるから体力的にもキツかったし、3年間勤めた営業職にどうしても適正を感じず、メンタル的にも相当削った。

精神科的なところに行ってみたのも1回や2回じゃない。

 

そんな僕を見かねたのか、当時の上司が「お前他のことの方が向いてると思うぜ」と話しかけてきた。

その時は、「てめえらが採用したんだろうがクソ野郎」と思ったけど、この日から僕はオープンに転職活動が出来るようになった。

周囲の先輩や後輩も相談に乗ってくれるようになったし、面接やESが書ける時間を作ろうと業務調整もしてくれた。今となっては先程の上司にも本当に感謝している。

 

 

「企業は社会の公器である」と松下幸之助は言った。

 

 

ダイバーシティ」や「生産性」が叫ばれるこの頃。

「一人ひとりが自分や周りを大切に出来る社会」が志向されているのだとしたら、今回の1件を通じて電通は「公器」としての役割を果たせていなかったのかもしれない。

 

ただ、それは電通1社の問題ではなく、採用制度・企業文化含め、全ての企業が一丸となって取り組んでいかないと解決しない根深い話なのだと思う。

「一人ひとりが自分や周りを大切に出来る」ということを、参加者全員が「当たり前」だと思える状況にならないといけないと思う。

 

www.nikkei.com

 

 

 

最後に、感傷的な話になるが、今回亡くなった高橋さんは僕の大学時代の後輩だ。

僕が一緒に過ごしたのは、駒場時代のたった1年だけだったけど、入学オリエンテーションの教室に明るい顔で入ってきた彼女はとても印象的な存在だった。

 

あれから話す機会も多くはなかったけど、昨年亡くなられたときにはやっぱり他人事じゃない喪失感のようなものを感じた。

人が亡くなるっていうのはそういうことなんだろうなと思う。

 

改めて、故人の冥福をお祈り致します。