タダより怖いものは無い、っていう話
元々俺は音楽なんて自分で全然聴かない子だった。
当時流行ってたMDプレイヤーも持ってなかったし、中学3年生になるまでCDなんて買ったこともない。
そんな俺の人生が一変したのはそう、「着うたフル」ブームだ。
当時はYoutubeなんて無かったから(知らなかっただけかもしれない)、違法アップロードの主戦場は「掲示板」だった。
もう猿のようにエロ動画と音楽をダウンロードし続ける毎日。ダウンロードが完了するまでの2,3分なんてあっという間だった。
とにかくカラオケで友達が入れた曲や、歌番組で流れてた曲を落としまくった。
言ってることもよく分かんなかったし、それまで聴いてきたものと違いすぎてそんなに好きじゃなかったけど、「いや、今はこれがかっけーんや!」と必死で聴き込んだ。もうカラオケでタンバリン叩くだけの惨めな陰キャラを卒業したかった。
そんな気持ちでダウンロードを続けていると、ふつふつと"ある気持ち"が湧き出てくる。
「みんなの知らない曲が知りたい」
というわけでそこからはひたすら「ジャケ買い」ならぬ「アーティスト名買い」、「曲名買い」に精を出すようになる。(買ってないけど)
後に人生初の合コンで歌って、女性陣から大顰蹙。俺の人生に深い影を落とすことになるこの曲もその流れでダウンロードしたものだ。
そんなこんなで楽しんでいたある日。
ある1曲が目に入る。
このとんでもなく厨二心をくすぐるタイトルに、俺はクリックせずにいられなかった。
つづく